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カテゴリ:__ 小説帖( 5 )
『雨はコーラがのめない』 江國香織
犬と暮らしたくなったー。

タイトルがヘンです。意味が通じない。
江國香織さんは、彼女に書く恋愛小説に一時ハマって、ずいぶんと読んで、少し飽きて。しばらく読んでいなかった。先日図書館に行ったときにふいと見かけて、ひさしぶりに読んでみるかと借りてきた。
コーラ色の表紙。
小説ではなくてエッセイだったんだけど、よかった。さらりとしているのに深くて。

「雨」と一緒に音楽を聴き、窓を眺め、散歩に行き、ワインを飲み、おしゃべりをする。そんな日常のこと。
この人の無駄がなく凛とした言い回しが好きだった、ってことも思い出した。


雨はコーラがのめない
江國香織
大和書房
1200+税
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by book_cafe | 2005-01-27 14:39 | __ 小説帖
『ニシノユキヒコの恋と冒険』 川上弘美

うーん、ひさしぶりの川上弘美。

あいかわらず書名が目を惹く。
女を好きになってもセックスをしても、芯のところで人を愛することができないと感じている男、ニシノユキヒコの10代から50代まで、彼と交わっていく10人の女性の視点で語られる連作短編。

ニシノユキヒコは、とらえどころがないやつ。だけど誠実で、正直なやつで、とても優しい。
ニシノユキヒコのとらえどころのなさは魅力でもあるが、でも、そのとらえどころのなさは、彼女たちにとっては苦しいものだったり切ないものだったり。だから、一様にニシノユキヒコを嫌いになったわけじゃないけど別れる、という選択をする。
女も寂しいが男も寂しい。

ほんとうのところは、誰にもちゃんとはわからないことなんだろう、恋とか愛とか、そういうもののことを川上弘美はこの作品で書いていると思う。
そしてあいかわらずの、川上節。ぼんやりとした余韻を残して、いい味わい。


ニシノユキヒコの恋と冒険
川上弘美
新潮社
1400+税
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by book_cafe | 2005-01-23 15:26 | __ 小説帖
『ビタミンF』 重松清
ビタミンというより、温湿布のような。

Family、Father、Friend、Fight…とFで始まるキーワードを盛り込んだ短編。2000年、124回目の直木賞受賞作品。

家族の物語を大きなテーマに持っているという重松さんらしい作品。前書きで、「――結局はFictionであり、乱暴に意訳するなら「お話」の、その力をぼくは信じていた」と作者が語っていたけど、その言葉もまたいいなあと思った。
どの作品も、さすがだと思う話しの流れ。遠からずのリアルな空気感が心の中のどこかの焦点と合って、ぐいと惹き込ませるものがある。
ビタミンというより、温湿布みたいにじんわりあったかくなって、痛みとか疲れとかをゆっくり癒してくれる感じ。

ビタミンF
重松清
新潮社
1500+税
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by book_cafe | 2005-01-23 14:28 | __ 小説帖
『嫌われ松子の一生』 山田宗樹

ほぼ370ページの人生。

九州から上京し、二年目の夏を迎えた大学生・川尻笙は、突然の父の訪問で三十年以上前に失踪した叔母・松子の存在と、その彼女が最近東京で何者かに殺されたことを知る。松子の部屋の後始末を頼まれた笙は、興味本位から松子の生涯を調べ始める。それは世間知らずの彼にとって凄まじい人生との遭遇だった――――――。


ふぅ。・・・が読後感か。
ふとした出来事で「人生の歯車が狂った」松子という女性が、生きて生きて生きて、その最期、見知らぬ相手によって殺害され死んでいく。

人生に見えない歯車があるとして、それは一度狂ってしまったら、正しく戻れないものなのだろうか。松子はなんどだって、前を向いて生きようとしていたのに。
狂った歯車がもとに戻ることなく生涯を終えた松子の人生は、救われない気がしてせつなくもなるが、最期まで「愛」という感覚を捨ててなかった松子がいとおしくなる。

わたし。わたしはどんな人生を送っているんだろう。考えてみたが、自分の人生なんてたやすく客観視できるものじゃない。それでも、ちゃんと生きているだろうか人生を、なんて考えてしまった。370ページのせつなくていとおしい松子の人生が、あまりにも深くて、短いものだったからかもしれないけど。


嫌われ松子の一生
山田宗樹
幻冬舎
1600+税
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by book_cafe | 2005-01-15 20:03 | __ 小説帖
『エイジ』 重松 清

うまいなあ、この人。すごくうまい。
心の描写とか、描かれる状況とか、よどむところがなくて。あっという間に世界にひきこまれてしまった。ひきこまれてしまった世界は、誰しもがとおる「中学生だった時」。

郊外のニュータウンに住む主人公エイジ14歳。友人らや家族とのたわいない日常の中、
地元で起きている連続通り魔殺人の犯人が、自分の前の席に座るクラスメートだった――。

「90年代最後の少年文学」と帯にある。最後の・・・との評は、他のものを読んでいないのでわからないけど、90年代という時代性はたしかに描かれている。
設定は今どきの事件性を盛り込んでリアルだけど、文体は奇をてらうことなく自然。中学生という微妙な年代を丁寧に書いてあると思う。


あっという間に読んだ。そして、後味もすごくよかった一冊。
ひさしぶりに行った図書館で、ほかにも数冊並んでいたんだけど、まずはkazlogさんからのオススメのコレにした。『ビタミンF』、『日曜日の夕刊』、そして『定年ゴジラ』と、もう少し重松清をあじわってみようと思う。


エイジ
重松 清
朝日新聞社
1600+税

『エイジ』は、その後文庫化され、昨年は新潮文庫としても出版されているようだ。文庫に掲載されているあとがきも読んでみたいと思う。


・・・とさっそくまた図書館へ行こうと思うけど、その前にもう一冊借りてきた本がある。以前から気になっていた『嫌われ松子の一生』山田宗樹著。偶然にも重松清が、帯に言葉を寄せていた。
「一晩で読了した。ページを繰る手をとめられなかった。夜明けの訪れとともに本を閉じて、泣いて、惚れた・・・・・・・・」と書いてある。読まねば。
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by book_cafe | 2005-01-14 19:46 | __ 小説帖