ほぼ370ページの人生。 九州から上京し、二年目の夏を迎えた大学生・川尻笙は、突然の父の訪問で三十年以上前に失踪した叔母・松子の存在と、その彼女が最近東京で何者かに殺されたことを知る。松子の部屋の後始末を頼まれた笙は、興味本位から松子の生涯を調べ始める。それは世間知らずの彼にとって凄まじい人生との遭遇だった――――――。 ふぅ。・・・が読後感か。 ふとした出来事で「人生の歯車が狂った」松子という女性が、生きて生きて生きて、その最期、見知らぬ相手によって殺害され死んでいく。 人生に見えない歯車があるとして、それは一度狂ってしまったら、正しく戻れないものなのだろうか。松子はなんどだって、前を向いて生きようとしていたのに。 狂った歯車がもとに戻ることなく生涯を終えた松子の人生は、救われない気がしてせつなくもなるが、最期まで「愛」という感覚を捨ててなかった松子がいとおしくなる。 わたし。わたしはどんな人生を送っているんだろう。考えてみたが、自分の人生なんてたやすく客観視できるものじゃない。それでも、ちゃんと生きているだろうか人生を、なんて考えてしまった。370ページのせつなくていとおしい松子の人生が、あまりにも深くて、短いものだったからかもしれないけど。 嫌われ松子の一生 山田宗樹 幻冬舎 1600+税
by book_cafe
| 2005-01-15 20:03
| __ 小説帖
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